年収1000万円超えに潜む危険なワナ 

キャリア

ようやく年収1000万の大台が見えました。

いよいよですね。

しかし、年収1千万円というのは「逢魔が時」ならぬ、「逢魔が値」。

危険な罠(ワナ)がいくつもあるので気をつけて。

  • 「給与所得者上位5%」というワナ
  • 「平均給与の2倍以上」というワナ
  • 「夢の大台に乗った達成感」というワナ
  • 「パフォーマンス vs バリュー」というワナ
  • 「〇〇パーセント増・減」というワナ

「給与所得上位5%」というワナ

国税庁の民間給与実態統計調査結果によると、年収1000万円を超える人の割合は全体の5%

民間事業所の役員+従業員(非正規含む)給与所得者5027万人のうち249万人

このデータ母数には公務員、アルバイト、源泉徴収義務者に定義されないフリーランスは含まれない。

249万人というと広島県や京都府、宮城県の全人口と同じ程度。

都市の人口でいうと、大阪市や名古屋市くらいになる。

年収1000万円から1500万円の範囲には180万人がいる。

だいたい札幌市や福岡市の総人口くらいの人数がこのレンジにいる。

5%という数字だけ聞くと少ないように思うが、人口を数えると249万人。

年収1000万円は「一部の選ばれた人間」といえるほど少ない人数ではない。

お金持ちになった気分で、日々の生活を贅沢にしたり大きな買い物を気前よくしたりできない。

子供たちを有名私学やインターナショナルスクールに入れる為には、その他の収入や資産が必要。

 


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「平均給与の2倍以上」というワナ

 

民間企業の平均年収は430~440万円といわれる。

同じく国税庁の統計調査によるとH29年の平均年収は432万円。H30年は441万円。

上のグラフで示す様に400~500万円ゾーンは870万人で17%。

年収1000万円になると日本のサラリーマン平均の2.2倍~2.3倍と単純計算することもできる。

しかし承知の通り、日本の社会保険料(健康保険料・厚生年金保険)、雇用保険料そして税金(所得税・住民税)は累進方式であり、いわゆる「手取り」は同じ倍数で増えるわけではない。

例;「手取り」のざっくりとした比較(独身・扶養なし。基礎控除のみ)
  • 年収  430万円 ⇨ 手取り335万円
  • 年収1000万円 ⇨ 手取り722万円 
  • 差 +570万円        +387万円

支出については家族構成や各々の必要経費は千差万別で異なる。

例えば、独身の年収430万円と4人家族(夫婦と高校生の子供2人)では、必要な支出が大きく異なるので、+387万円で家族が贅沢し、豪遊できるようなものかどうかは明らか。

年収1000万円は扶養家族の有無、構成にもよるが、生活に大きな変化をもたらすことができない

【参考】

  • 年収  900万円 ⇨ 手取り657万円
  • 年収1000万円 ⇨ 手取り722万円 
  • 差 +100万円          +65万円

 


「夢の大台に乗った達成感」というワナ

インターネット検索エンジンで「年収1000万円」と検索すると少なからず、“夢の…” や “憧れの…”という文字が目に映る。

ある一定の人々において、サラリーマン生活の目標地点やゴールの様に描かれている。

人生ゲームや双六、ボードゲームのあがり(ゴール)の様に。

時々「残念な年収1000万プレーヤー」がいる。

その達成感でさらに新たな学びや攻めの姿勢を止めてしまっている。

業務改善や業務効率化はしている“ふり”で、その先の高みに成長することを目指さない。

給与所得者上位5%で満足し、次のステージ上位1.4% 年収1500万円の69万人のひとりになることをあきらめている。

たしかに次のステージは『狭き門』ではあり、所属する組織や会社においてはポストの椅子取りゲームは熾烈である。

学ばず成長せずに立ち止まってただ年齢を重ねる者は、ポテンシャルの高い後輩たちがすぐ後ろに迫ってきていることを知らなければならない。

年収1000万円はゴールではなく通過ポイント。

夢の大台に乗った達成感で安心して立ち止まることなく、さらに走り続けるべき。

会社や組織は、走り続けない者に年収1000万円を与え続けることはしな

2019年から日本の経済界に流行する「45歳リストラ」は、そういった走り続けない人に気付きを与えていることと思われる。


「パフォーマンス vs バリュー」というワナ

「人は財なり」という言葉がある。

「財」を宝物と意味することもあるが、企業において使う「人財」は愛でるものではなく、価値を生み出す経営資源である。

「人財」は利益を生み出す資産であり、給与だけを支払う負債であってはいけない。

製造業の機械設備を思い描いてほしい。

新たな製造ラインを設置をするために投資判断をするにあたり、高額なものは皆の注目を集める。

少額な機械や消耗品は、部長決裁あるいは課長決裁程度ですむこともある。

高額な費用を払い投入された機械ほど、トライアル、量産の稼働率、生産効率、不良率などは厳しくモニターされて当初予定されていた性能目標、生産性に到達しない時には細かく分析され、改善のアクションがされる。

もしも機械の故障が頻発したら、返品交換または他社の機械に入れ替える。

「人財」も同じで、高給社員は高額な機械と同じ様に皆にモニターされていると考えた方がよい。

年収1000万円に見合ったパフォーマンス(生産性)を出さなければ、最悪は交換(配置転換、降格など)となることもあり得る。

企業は高額(高給)なモノ(者)ほど「パフォーマンス vs バリュー」の視点でみる。

 


「〇〇パーセント増・減」というワナ

年収1000万円といっても企業ごとに各々、給与や手当の計算方法が異なるので一概にいうことはできないが、ここでは次の様に仮定する。

  • 年棒1000万円。12カ月定額割 833千円/月
  • 業績連動ボーナス制度 〇ヵ月分

この企業の業績が好調である場合、ボーナス計算の分母(月給)が高いほど有利なのは当然ありがたい。

逆に2020年の様な大恐慌、大不況あるいは企業の不祥事により一律に減給されることになった場合は、計算の分母(月給)が大きいほどに手取り金額のマイナスはダイレクトに響く。

起こって欲しくないことであるが、「一律の減給」はこれまでいくつもの企業で選択されてきた。

高い給与にはプラス方向の面とマイナス方向の両面がある。

 


まとめ

これまでみてきたように、“夢の”年収1000万円には危険なワナが潜んできる。

  • 「給与所得者上位5%」というワナ

年収1000万円は「一部の選ばれた人間」といえるほど少ない人数ではない。

  • 「平均給与の2倍以上」というワナ

年収1000万円は扶養家族の有無、構成にもよるが、生活に大きな変化をもたらすことができない

  • 「夢の大台に乗った達成感」というワナ

会社や組織は、走り続けない者に年収1000万円を与え続けることはしない

  • 「パフォーマンス vs バリュー」というワナ

企業は高額(高給)なモノ(者)ほど「パフォーマンス vs バリュー」の視点でみる。

  • 「〇〇パーセント増・減」というワナ

高い給与にはプラス方向の面とマイナス方向の両面がある。

あなたが年収1000万円を目指しているなら少し気に留めておいてほしい。

あなたがもう少しで届きそう、既に達成しているのであれば今ここで自身の姿勢を確認してほしい。

 

~文末~

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