海外駐在期間中の転職を成功させる為にやるべきこと

キャリア
 
2020年、新型コロナウイルスのパンデミックで事業構造の変革と海外人材計画の見直しを迫られる企業も少なくない。
現在、海外駐在している方のなかにはキャリアプランの見直しを考えている方もおられるだろう。
  1. 社命に従い任期満了を待たずに帰国
    • 日本でのキャリアアップ
    • 海外駐在への再チャレンジを狙う
  2. 海外要員コアスタッフとして同じ会社の他国へのスライド赴任
  3. 他社海外駐在ポジションへの転職
  4. 現在赴任している国に残り現地採用ポジションへの転職

ここでは、上記3と4を成功させる為のポイントを紹介する。

六兵衛は3年前に海外駐在から現地採用ポジションへ転職しました。

その時に実践したこと、思ったことを紹介します。

 

海外駐在期間中にキャリアチェンジする動機

広い意味では国内転勤地での転職と同じ。

海外駐在は仕事だけでなく生活そのもの。

その国民性やライフスタイル、気候や景色が気に入ったり、好きな人ができたり。

また家族帯同であれば、子供の進学や学校の事情でその地を離れることが好ましくなかったり。

大きく分類すると、日本国内で転勤後に転職をする動機と基本は同じ。

国内転勤でも海外駐在でも、転勤(本帰国 or 横滑り海外駐在)はいずれ訪れる。

自分の意志としてその国に残る為に転職することは、

例えば東京の会社から福岡に転勤した後に福岡を気に入り、福岡で転職することを決心することと変わらない。

その動機が中学生の子供が高校を卒業するまで福岡に残る為に転職することと変わらない。

ただ、海外駐在期間中にその国で転職する際に考慮すべき課題が少し多く、複雑なだけである。

 


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動機を満たすキャリアロードマップの洗い出し

選択肢はひとつではない。思い浮かぶすべてのルートを描いてみる。
  1. 社内ジョブチェンジ、企業グループ内でその国の海外駐在ポジションを探す。
    • 利点;転職後も社内用語、仕事の仕組み、人脈が流用できる。
        • 会社側も少ないコストで即戦力を得ることが期待できる。
        • 人事的な手続きが比較的少なく済む。
        • 福利厚生、待遇など日本国内の厚生年金、企業健保の引継ぎ。
    • 難点;異動後も前職のしがらみを引きずる。
        • グループ企業として海外駐在減員の方針だとすると狭き門。
        • 給与、福利厚生の待遇のジャンプアップは期待薄。
        • 海外駐在の減員は時代の流れであり、今後さらに狭き門となる。
  2. 現地での転職活動。日系 or 外資系の海外駐在ポジションを探す。
    • 利点;いつか帰国したくなった時に日本への転勤のオポチュニティがある。
        • その時の業務に慣れる苦労が少なく済む。
        • 本帰国時の海外引越費用など会社負担。
        • 厚生年金、健保など日本の社会保険制度を利用できる。
        • 給与、福利厚生の待遇のジャンプアップもあるかも。
    • 難点;海外駐在ゆえに本帰国命令や他国へのスライドもあり得る。
        • 転職活動において、その国での業務遂行能力が重要。
          • 例えば現職では重要視されなかった現地の言語能力など。
        • 転職後、社内用語や人脈の再構築が必要。(すべての転職と同じく)
        • 海外駐在の減員は時代の流れであり、今後さらに狭き門となる。
  3. 現地での転職活動。現地採用のポジションを探す。
    • 利点;現地採用ゆえに原則としては日本への帰国、他国へのスライドはしない。
        • その国に住みたい、残りたいという意思に対してぴったり。
        • 居住地、ライフスタイルに自由がある。
        • 給与面でのジャンプアップも夢ではない。
          • 海外駐在の待遇(家賃、学費、カンパニーカー)は給与でカバー。
          • 駐在であれば高校卒業分までしかない学費補助相当も給与でカバー。
    • 難点;海外駐在にありがちな厚待遇のほとんどが無くなる。
        • 企業による庶務的なサポート。(住居契約、役所届け出、トラブル処理)
        • 家賃、一時帰国費用、子弟の学費は自己負担。
        • 通訳や運転手はつかない。(ポジション次第)
        • 転職活動において、その国での業務遂行能力が必須要件。
          • 例えば現職では重要視されなかった外国語能力など。
        • 転職後、社内用語や人脈の再構築が必要。(すべての転職に同じく)


全てのキャリアロードマップを同時にスタート

残された時間を意識して、マルチタスクで進める。

その国に残りたいという意思があっても、海外駐在にはいつか本帰国が発令される。

発令されてからキャリアチェンジを準備しても ほとんどの場合には間に合わない。

帰国してから転職活動をしたり再赴任を画策して成功させる人もいるが、多くはいない。

そしてそれには数か月から数年の期間がかかるのがほとんどである。

思いついた今が「スタートの号令」

またLinkedIn(リンクトイン)はビジネス特化型SNSであり転職専用ではないが、世界中のほぼ全てのヘッドハンターが利用しているため、必ず登録しておくことをお薦めする。

うまくいけばコーン・フェリー(Korn Ferry)やエゴン・ゼンダー(Egon Zehnder)などのヘッドハンティング世界5大ファームから声がかかるかも。


キャリアチェンジを決断をする基準を明確にする

判断基準の重要度ランクと許容範囲を設定し、判断に迷いがないようにする。

動機となることを満たす為に大切なことから順位付けをする。

例えば、勤務地を最優先に⇨給与・手当⇨職種とランク付けした場合。

  1. 勤務地;子弟の学校を優先するのであれば学校を中心として通学、そして自身が通勤できる範囲。
    • 転職による結果、その国内といえど単身赴任になることが家族にとって良いのか。
    • 通勤時間が短縮することが望ましいが、一日何時間までならば増えても受け入れるか。
  2. 給与・手当;動機を達成できる為に必要なキャッシュフローの目論見と下限の設定。
    • 固定給与と変動する賞与を明確に分ける。
    • 手当も子弟の学費補助の年齢制限や家賃補助の期間など。
    • 現地採用に転職する場合は日本での給与振込が無くなるので、年金・保険や固定資産税などのキャッシュフローを計算し、必要な処置(解約や資産売却など)を講じる。
  3. 職種・業務範囲;将来のキャリアプランの通過点になり得る分野と責任範囲。
    • 動機の種類や人生における重み次第でキャリアについての考え方は異なるかもしれないが、転職を成功させる要素は国内転職でも海外転職でも変わらない。
    • その転職を将来のキャリアの通過点としたいのであれば、オファーを検討するに値するかどうかのモノサシは必ず用意しておく。
  4. こだわらない点を明確にしておく。
    • 転職の経験がある者にとっては常識であるが会社の制度はそれぞれに異なる。特に海外駐在においては手当、福利厚生、出張規定などについて似て非なることが多い。
    • 今の自社の規定を元に、こだわる項目とこだわらない項目を洗い出す。
    • 候補の会社との面談においてはこだわる項目だけ質問し、こだわらない項目は質問しない。もしもこだわらない項目で厚待遇があれば「ラッキー」と受け取る。


海外転職を決断した後にやるべきこと

国内転職よりも手間がかかるが、それも動機を満たすため。

1.今の会社への退職届

経費がかかる海外駐在期間中の退職には否定的な考えが存在するのは事実。

退職の可能性は、転職活動に手応えを感じた頃には直属上司に匂わせておく。ほぼ決断する頃には、かなり真剣に伝える。

  転職先からオフォーを受けてサインをしたら、その日中に退職を届ける。

2.日本での事務手続き

先ずは、国内の転職と同じくいまの会社の人事部門と事務手続きを行う。

給与・退職金の精算、雇用保険、会社の健康保険組合、厚生年金の処理。

海外転勤が日本の会社の海外駐在か、現地採用かでこの後の処理が大きく変わるので注意。

現地採用の場合は国民年金、国民健康保険の脱退または任意継続。

企業型確定拠出年金を運用していた場合は、iDeCOに移行が強制。

現地採用の日本での手続きについてもう少し詳しく知りたい場合はこちら

3.現職でお世話になった方々への挨拶

いまの会社の先輩、同僚や取引先でお世話になった方々にご挨拶は必ず。

4.転職先についての事務手続き

海外転勤ではビザ(査証)とワークパーミット(労働許可書)が最も大切な書類。

入社前までに、これらの事務手続きの手順については必ず理解しておく。

それ以外の入社書類は正直、なんとでもなるもの。


まとめ

海外駐在は仕事だけでなく生活、そして人生そのもの。

自分の人生を豊かにするために海外駐在期間中の転職を検討するにあたり、上記の様な見方やプロセスが参考になれば幸いです。

あらゆる選択肢を描き、マルチタスクで進め、明確な判断基準のもとに成功できることを!

~文末~

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