西洋系の外資には多くのMBAホルダーがいる。本国の経営陣と財務部・経理部などは全員がそうであるという様な企業も少なくない。
中国をはじめ東南アジアで急成長している企業の幹部もMBAホルダーの比率が非常に高い。 「MBAホルダーは使えない」と揶揄されることもあるが、現実においては意思決定や発言権を持つポジションにはMBAホルダーがいるというのが実感。
ここでは彼らと仕事をする為に知っておきたい実践的な管理会計用語のひとつ『EBIT』と『EBITDA』について話す。
EBITとEBITDA
EBITはEarnings Before Interest and Taxesの略で「利払い前・税引前利益」と訳される。
- 国や自治体等によって異なる税制と、企業や時期によって異なる支払利息・受取利息などを省いた値を算出する。
EBITDAはEarnings Before Interest,Taxes, Depreciation and Amortizationの略で日本語訳でうまい表現はあまりない様で、「固定資産償却/控除前・利払い前・税引前利益」。
- EBITDAから企業や工場、対象とする商品毎に異なる有形・無形固定資産の償却コストを省いた値を算出する。
なぜ経常利益や営業利益では無く、利子や償却費を除くのか???という疑問が湧く方もいるかもしれない。
EBITもEBITDAも、その目的は事業体の財務成績を測る損益計算(P/L)ではなく、事業や製品そのものの収益性・キャッシュフロー創造力を同事業を行う多国間で比較したり、異なる業種・製品を比較することに役立つ。
別の言い方をすると、多国間比較や異業種、異なる製品の収益性を比較する上で面倒となる①国ごとに異なる法人税、②事業体の事情による支払い利息、③製品や製品ミックスによって異なる減価償却費などを切り離して収益性・キャッシュフロー創造力をはかる指標がEBIT・EBITDA。
EBITと営業利益の関係
EBIT = 税引前利益 + 支払利息 – 受取利息
別の見方をすると
EBIT = 営業利益 + 利息以外の営業外損益 + 特別損益
一製品やプロジェクト単位でみる場合には、上段の様に個々の原価と販売価格から算出する税引前利益を基準にしてみることができる。
会社または事業単体で見る場合には、下段の様に損益計算書の営業利益をベースにして考えると理解しやすいかもしれない。
実際の企業活動では現実的では無いが、仮に支払利息も受取利息も無く、また本業以外の損益や特別損益も無い(考慮しない)場合には EBIT = 営業利益 といえる。
EBITDAが示すこと
EBITDA = EBIT + 減価償却費・控除
減価償却には有形固定資産の償却費と無形固定資産の償却控除がある。これは将来キャッシュフローを産み出す為のものであり、会社の既存リソースや対象とする商品毎に異なる。
EBITに減価償却コスト分を戻して利益を計算したEBITDAは、例えるならば 既存資産や新規投資の如何に関わらず、その事業・プロジェクトがどれだけのキャッシュフローを産み出すのかという理論値を求めるもの。
複数の国の工場で同じ製品を製造・販売する場合や、異なる商品について求められたEBITDAを比較することにより、各々のキャッシュフロー創造力を示すことができる。
~ 文末 ~
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