グローバルな働き方のひとつ【海外転勤・海外出向】について、赴任地での働き方・生活・本帰国までの流れをまとめる。
海外出向の辞令の際、ほとんどの会社はその予定期間を通知する。
短期的なプロジェクトとして半年や1年。
キャリアパスとして、2~3年。海外現地事業体のマネージメントポジションとして固定された役職で3~4年。
余程のことが無い限り、その期間は1年の延長等はあるにしろ、期間が短縮されることは無いと思う。
海外転勤・海外出向
赴任地での働き方~楽しみ~本帰国まで
駐在期間が短縮されるケース
- 日本国内/海外事業体での急な人事異動。同僚の退職による玉突き人事の必要性。
- 新規ビジネスプラン等に不可欠な人材として抜擢する為の呼び戻し、あるいは他国へのスライド出向。
- 全社あるいは赴任先会社における事業再編・リストラクチャリング。
- 赴任先会社でのトラブル。
- 法令違反、コンプライアンス違反等による懲罰。
赴任地ので働き方
山の様な事務作業を出国前と着任後にこなし、働く道具と“食”・”住”・”家族の安定”という地盤を整えた。
熱い志を胸に自身の業務の全容を捉え、現地スタッフと共にビジネスに没頭する生活のスタート。
海外駐在員には大きく分けて3つの暗黙知のミッションがある。
これらは人事異動辞令には明記されないし、外資系企業にあるJob Descriptionに記述されることはない。
本社からの海外出向駐在員と現地採用の従業員とでは、異なるミッションが与えられている。
(日本からの海外出向駐在員と現地採用日本人の違いについては別ページで述べる。)
Mission 1 ; 本社と赴任先会社との連絡係
辞令された赴任先会社での役職・タイトルに関わらず、本社と赴任先会社の双方から期待される役割は連絡係。
赴任先会社が現地資本との合弁会社(Joint Venture)である場合は特に、企業の文化的背景と言語の違いから、言語学上の通訳以上のtranslationを期待される。
出向元である本社の意向を通す折衝を赴任先のマネジメントに働きかけることもそのひとつ。
Mission 2 ; 本社から赴任先会社のお目付け・密偵
公然として活動できるMission 1に対して、少し遠慮しながら行うのが「お目付け」あるいはコントロール。
また、裏の活動として出向元の本社から求められる役割はスパイ。
赴任先の会社に不利になることの調査、予見、防止すること。
Mission 3 ; 日本からの出張者の接待係・コーディネーター
本社役員の来訪時、ホテル・送迎車・食事の手配から通訳、レクリエーションのコーディネーションも重要な任務。
これは赴任先からも駐在員に求められている業務。
本社役員の出張は赴任先会社を評価することもひとつの目的。
本社役員に機嫌よく帰国してもらう為には、上手な「おもてなし」が大切。
日本の顧客が赴任先を訪れる際に海外駐在員は、営業職ではなくても「おもてなし」を行うことが会社の為であり、そして駐在員自身の将来の為でもある。
赴任期間中に必要な事務書類手続き
着任前の日本国内での事務書類手続き、着任後のvisaやwork permissionの事務手続きなど山のような書類を目にして来たが、赴任期間中に諸々の公的な届け出を更新しなければならない。
これを怠ると不法滞在、不法就労で法律違反として刑罰の対象となる可能性がある。
(最悪の場合は、再入国拒否)
領事館への在留届、在外選挙人名簿の登録
赴任国の日本国領事館への在留届は必ずしておきましょう。
同時に、在外選挙人名簿の登録をしておくことで、日本国民としての権利と義務を維持しましょう。
パスポート有効期限が赴任期間内の場合
例えばパスポート有効期限が2020年10月31日の時、ビザ及びワークパーミッションはそのパスポート有効期限を越えて発行されることはない。
ビザ&ワーパミの申請が2020年2月1日であり、基本有効期間が3年であったとしても、ビザ&ワーパミは2020年10月31日。
よってパスポート有効期限以前(6カ月以前が望ましい)にパスポートを更新し、次いでビザ&ワーパミの更新をする。
更新後のビザ&ワーパミの期限はそこから基本有効期間3年となり、出向予定3年の場合には期間内に2回目の更新は不要となる。
定期的な在留確認など赴任国の入国管理における法令
国によっては入国管理強化の為に、長期滞在ビザ所有者に定期的な在留確認届を義務づけることがある。
タイ国では入国後90日間に一度も出国していない場合には、イミグレ事務所に届け出を申請しなければならない。
海外出張の多い人であれば、赴任中に一度もこの申請を行わずに済む方もおられる。
番外編(現地クレジットカード申請・現地運転免許書取得)
現地通貨での給与振込を受けて生活を始めると、為替変動を気にせずお金を使いたい。
そこで現地でのクレジットカード発行を考えると思うが、その際にもパスポート、またはパスポート+ビザ+ワーパミが必要になる。
世界の多くの国では国際運転免許証で運転できるが、その有効期限は1年。
日本帰国の際に発行を受けることもできるが現地の運手免許証を保有すると、IDカード代わりにもなってパスポートを常に携帯することから解放される(各国法令による)。
日本で普通運転免許を有する場合には赴任国の領事館において所定の書類を発行してもらい、赴任国の運転免許センターにて簡易な試験を受験した後に発行される。
赴任期間中の楽しみ
食べる・飲む・踊る
期間限定の海外転勤、その時間を出来るだけ楽しみたい。
その国ならではの食事、お酒、舞踊などの文化。時間とお金のある限り経験をして、本帰国での想い出とお土産に。
日本から友人が来た時に、美味しいお店を案内し、美味しいお酒を楽しませてあげよう。
旅をする
本帰国後、あそこに行っておけばよかった(涙)とならないように、出来るだけ赴任国を旅しよう。
近隣の国にも、長期休暇の際には行っておきたい。日本発で旅行するよりは安い!
友人をつくる
短期旅行ではなく住んでいるからこそ出会える友達がいる。数年住んでいると、たくさんの出会いと別れが生まれる。
それでも関係が続くのが友達と呼べる間柄。友達は日本人でも外国人でも、トモダチ。
いよいよ本帰国
赴任期間のうち出張や休暇として日本に戻る一時帰国に対して、本当の帰国を本帰国という。
また、海外赴任からそのままに別の国に転勤となることをスライドと称する方々もいる。
帰国時期の決定
海外出向前の内示と概ね同じ期間をもって内示され、正式辞令される。
予定内示期間を過ぎても会社内で音沙汰が無い時は直属上司や人事部に確認すべき。
もしも期間以前に本帰国したい意思や、逆に延長したい思いがある場合には、それ以前から根回しをしなければならない。
一人の異動は玉突きで多くの同僚に影響を与えることをよく考えること。
帰国手続き
日本に帰国するのであれば、非常に簡単。
赴任前の膨大な作業量と精神的負担に比べると10分の1以下なのではないだろうか。
- 赴任先業務の引継ぎ(贔屓にしていたレストラン、バーなどを含む)
- 取引先への挨拶(海外赴任から異動の場合には、割と早くに外部にも通知される)
- 子供の学校の転出・退学手続き
- 引越し作業(赴任中に荷物は増えるもの)
- 社宅退去の手続き、水道・電気・契約利用サービスの解約手続き
- 銀行口座閉鎖は、給与受け取りの最終月とクレジットカード等最終引き落とし以降に解約する。
- ビザ&ワーパミの抹消手続き(抹消後は速やかに出国することができるスケジュール)
- 帰国の航空券手配
本帰国
海外出向はあっという間に月日が過ぎる。
着任した日にはあと何年もあると思ったものが、光陰矢の如し。
とうとうその日がやって来た。
パスポートはOK! 航空券もOK ! お土産もどっさり!
お世話になった方々への挨拶は、しっかりと済ませておこう!
帰国後
日本への帰国後も慌ただしいのだが、海外転勤・赴任の前の慌ただしさに比べれば、少し残業が多い日々くらいの感覚。
事務書類手続きは住民票の転入届、納税管理人解除、マイナンバー登録、出国前に解約、利用一時停止、中止したサービス類の再構築、郵便物転送の解除。
そして、船便なら約1カ月かかる荷物の受け取り等など。
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