外資系企業が大切にしていることは論理的思考と説明力。
多国籍・多文化が共存するコミュニティでは、特定の文化を背景とする情緒的な説明は受け入れられない。
面接での候補者の受け答えが矛盾せずに一貫した筋道で、有機的に組み立てられていること。
外資系の採用プロセス(例)
中途入社・採用はその人材を必要とし、募集する所属部門が決定する。
採用活動における人事部(HR)の機能は
① 社内規定に基づく採用プロセス管理
② エージェントとの折衝
③ 面接日程のアレンジ
④ 採用決定後のOffer Letter(採用決定通知)発行
⑤ 候補者のサイン済みOffer Letterの受信
⑥ 入社前後の各種書類作成。
企業によりプロセスは異なるが、入社後直属の上司又は部門長がハイアリングマネージャーとなり、複数の人々が個別またはチームを組んで面接する。
2~3か月の期間の間に行われた面接官全員の協議を経て社内承認された後、Offer Letter(採用決定通知)発行される。
企業が転職エージェントに伝えること
Job Description
(職務記述書;以下JD) 担当する業務内容や範囲、レポーティングライン(直属上司のぽ役職・部下について)、予算管理責任の有無、国内外の出張の要否、必要なスキル、職務経験、勤務地など。
募集の背景
新規ポジションなのか、リプレイスなのか。
職場環境
工場勤務のエンジニアの場合はプレス機の騒音や空気環境リスク等について説明があることもある。
採用スケジュール
候補者の提案 ~ 面接1次 – 2次 – 最終 ~ 採用決定通知~入社までの日程感。
給与・福利厚生の条件
エージェントは人事部からサーチ(候補者提案)の依頼を受けるが、ハイアリングマネージャーと直接に会って企業の業績、募集の理由・背景、職場の雰囲気などJDに記されていない情報を得ることにより、転職希望者やヘッドハント人材と企業とのマッチングをすることが望ましい。
転職希望者は担当のエージェントが案件をもってきた時に、そのエージェントはハイアリングマネージャーと面談をしたのかを聞いてみることをお勧めする。
その上で、気になる質問をエージェントを経由して企業にヒアリングしてもらうことが良い。
書類審査
外資系では職務経歴書のことをレジュメ又はCV (curriculum vitae)という。
最終学歴以前を記したり、趣味を記載する履歴書は利用されない。
エージェントが提案した候補者のCVをJDに照らし合わせ、面接をしたい候補者を絞り込み、エージェントに候補者とのインタビューを依頼する。
インタビュー(面接)の仕組み
インタビューは転職希望者と企業側双方の立場から相手を品定めすること。
企業側は、候補者のCVだけでは読み取れない知識と実績を知り、募集するポジションにマッチすることを確信し、そして将来のポテンシャルを想像したい。
外資系企業の場合、採用が日本支社・支店であろうとポジションによって誰と面接をするかは異なる。(日本の新卒採用に様に、平社員の最終面接が役員面接とはならない。)
[面接の応対レベルの例]
- 日本支社スタッフ;直属上司となるManagerから支社のGeneral Manager/Directorまで。
- 日本支社マネージャー;支社のGeneral Manager/Directorから所属部門のアジア地域本部長まで。
- 日本支社GM;アジア地域GMからCOO/CEOまで。
[営業マンとのインタビュー項目]
- 職務経歴をたどる;候補者はCVを読み上げるのではなく、CVには書ききれなかった実績や体験を織り込んで紹介する(説明ではなく、敢えて紹介と表現する)。企業側は既にCVを基準に候補者とのインタビューを設定している。CVだけでは見えないところを知りたい。
- 業界についての知識確認;営業マンはエンジニアに比べると、業界をまたいだ転職の門戸も広い。例えば、自動車のシートメーカーの営業経験があれば、他の自動車部品、例えば内装パネルの企業への転職などは受け入れ易い。しかし、同じ自動車でもクルマの販売から、トヨタの工場で組み立てられる部品の営業マンになるのは、容易ではない。BtoBからBtoB, BtoCからBtoCへの転職というのが一般的。 受注活動から販売ルート設定、売上金の回収など、営業マンとしての基礎知識が各々で異なる為。
- 交渉力・推進力;営業マンはビジネスの成長を推進することが第一のミッション。お客様に対する日々の折衝事も全ては、ビジネスの成長の為の準備、環境づくり。インタビューでは、実際の例を元に、どのように成功に導いたのか、自身の役割について聞かれる。
- 調整能力;営業マンは最終学歴の専攻科目はほとんど無関係。営業マンの期待される機能のひとつは、お客様において問題が発生した場合に、お客様と自社の間に入り、双方の利害をよく理解して、自社の損害を最小限にしながらお客様の満足を最大限にすること。これをバランス良く調整する能力が見られる。
- リーダーシップ;リーダーシップはリーダーという肩書がある人だけではなく、皆が持つべき。外資系においては、この考えが浸透している。自身の経験において、どの様にリーダーシップをとって物事を進めたか、ということを実際の例を紹介しながら、話すことが求められる。
外資系企業が見る最も大切なポイント
外資系企業が大切にしていることは論理的思考と説明力。
多国籍・多文化が共存するコミュニティでは、特定の文化を背景とする情緒的な説明は受け入れられない。
面接の際、候補者の受け答えが、矛盾せず一貫した筋道を有機的に組み立てられていること。
職務経歴と業界知識を紹介する時も技術的知識を説明する際にも、論理的に話をすることを心掛けてほしい。
外資系転職で最も気をつける点は、営業マンもエンジニアこの一点である。
英語力について
必ずしも、英語力がビジネスレベル、TOEIC700点前後でないといけない訳ではないが、営業マンの場合にはコミュニケーションが武器であり、技術であるために、出来るだけ英語が書ける、話せることが望ましく、候補者の中で同じような経歴と実績、知識、人間性があれば、英語力の高い方が有利である。
企業の規模や考え方、募集ポジションによって異なるが、私自身の外資系メーカー在籍10年以上の経験から次の様にまとめる。
会社によっては、入社後に英会話スクールに会社経費で通わせてもらえることもある。また、特別な例ではあるが、入社前(Offer Letterへのサイン後)から英会話スクールに通うことを認め、一時は入社予定者が立て替えるが、入社後に経費精算できる様に取り計らう場合もある。
現在の日本の転職市場には、「英語で交渉のできる営業マン」はかなり増えてきていると感じる。エンジニアに比べると買い手(企業側)市場と感じる。
~ 文末 ~
外資系や日系グローバル企業で英語を活かして働きたい場合
(六兵衛も採用側として実際にお世話になったことがあります。)
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